第172章 昔の話を持ち出す

「さっき、なんて言った? あいつらに何をさせたって?」

川西拓海が一歩、また一歩と詰め寄る。漆黒の瞳には、隠しようのない殺気。

石井晋は、ふるいにかけられたみたいに全身を震わせていた。冷や汗でびしょ濡れだ。まるで水から引き上げられたばかりのように。

「ち、違う……俺は……」

まだ言い逃れしようとした石井晋を、川西拓海が氷みたいな目で睨む。

その瞬間、声が喉の奥で凍りついた。

川西拓海はゆっくりと腕時計を外し、拳の甲にきつく引っかける。何度か握って力の入り具合を確かめると――

全身の筋肉が、ぎり、と張り詰めた。

次の瞬間。

力のこもった拳が石井晋の右頬を砕く。

「ドンッ」

...

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